ヘルニアの寝方研究室~ヘルニアの原因や良い寝方~

腰椎椎間板ヘルニアと言えば、誰もが一度は聞いたことがある疾患なのではないでしょうか。

ですが、具体的にどのようなことが原因となっているのか、どのような症状が見られる疾患なのか等、詳しく知っているという方は少ないかもしれません。

自分や周りの大切な人がヘルニアになってから慌てるのではなく、何かしらの知識をもっておくほうが落ち着いて対応することができますよね。

ここでは、ヘルニアの原因や症状、ヘルニアの方に適した良い寝方などについて、ご説明していきたいと思います。

 

ヘルニアになってしまう原因って何?

「腰椎椎間板ヘルニア」という名前や症状はなんとなく知っていても、原因は知らないという方も多いと思います。

ヘルニアの原因には以下のようにいくつかのものがあり、それらが関係しあって発症します。

  • 椎間板の老化によるもの
  • 骨の老化によるもの
  • 日常的な動作によるもの
  • 姿勢の悪さによるもの
  • 加齢によるもの

 

たとえ日常的な当たり前の動作であっても、それが負担をかけてしまうものであった場合、それを繰り返すことで椎間板ヘルニアを発症することもあるのです。

 

椎間板の老化によるもの

”椎間板の老化”といっても、60歳以降に脆くなる、というようなことではありません。

椎間板は、20歳を過ぎた頃から少しずつ老化していくと言われています。

椎間板は外側が線維輪という軟骨でできており、その内側にゼリー状の髄核というものが入っています。

 

これによく例えられるのが、”おまんじゅう”です。
おまんじゅうの皮部分が線維輪で、餡の部分が髄核というようなイメージです。

そのイメージ通り、椎間板は全体的に柔らかく弾力性があり、腰部の椎骨と椎骨の間でクッションのような働きをしています。

腰椎に加わる衝撃などを軽減させて、しっかりと守ってくれているのですね。

ですが、椎間板の老化によって弾力性が失われていくと、少しの衝撃や無理な動作によって線維輪に亀裂が入り、髄核が飛び出してしまうのです。

おまんじゅうで言えば、”皮が破けて餡が外にでてしまう状態”です。

このように、髄核が外に飛び出してしまうことをヘルニアと言います。

 

骨の老化によるもの

椎間板の老化と同じように、骨も老化していきますよね。

老化と聞くと、どうしても年齢的なものや、骨粗鬆症のようなカルシウム不足を連想する方は多いと思います。

もちろんこれらも骨の老化とは大きな関係があるものですが、加齢やカルシウム不足だけではなく、無理なダイエットによる栄養不足でも骨が老化してしまうと言われています

骨が老化することで衝撃に弱くなり、骨がポロッと欠けてしまうことがあります。

そこから椎間板を傷つけてしまうこともあるため、できるだけ栄養不足にならないようにしたり、老化を少しでも遅らせるような努力が必要になるのですね。

 

日常的な動作によるもの

そして、日常的な動作によっても、椎間板ヘルニアの原因となります。

特に、腰に大きな負担を強いることになる動作が多い方が、ヘルニアになりやすい方だと言えます。

例えば・・・

・腰を大きく捻る動作をすることが多い
・急に腰を捻る動作をすることが多い
・重いものをもつことが多い
・重い物を動かすことが多い
・長時間座り続けることが多い
・長時間立ち続けることが多い

これは、サッカーや野球などのスポーツ選手をはじめ、運送会社の方や介護職の方などに当てはまります。

実際にそれらの仕事をされている方は、腰痛やヘルニアに悩まされている方が多いですよね。

腰痛の発生が多い業種の全業種に占める割合を見ると、商業(小売業)で12.1%、運輸交通業(道路旅客・貨物運送業)で12.9%、保健衛生業(社会福祉施設、医療保健業)で26.6%となっています

引用:2011年「労働者死傷病報告」

 

このように、実際にデータとしても厚生労働省が発表しているものがあります。

少し古くなりますが、2002年から2011年の間で、社会福祉施設での腰痛発生は約2.7倍にも増加しているとされています。

これらを受け、平成25年の6月に、「職場における腰痛予防対策指針」は19年ぶりに改訂されています。

 

日常動作として何気なく行っていることであっても、腰に大きな負担をかけているものなのです。

そしてそれが趣味などではなく仕事である場合、簡単にやめてしまうことができないため解決しづらいという点が問題です。

 

姿勢の悪さによるもの

「良い姿勢」「悪い姿勢」、と言いますが、具体的にどのような姿勢が良くてどのような姿勢が悪いのか、ご存知ですか?

良い立ち姿勢 顎を引いてお腹を凹ませ、骨盤をたててお尻を締める(天井から吊り下げられているような感じ)
悪い立ち姿勢 背中が丸まり(反る場合も)骨盤は傾き、みるからにだらしない感じ

 

立っている間の理想的な姿勢は、背骨が緩やかなS字カーブを描いている状態です。

このS字カーブのことを、生理湾曲と言い、人間の身体に一番負担が少ない姿勢を保てる形になっています

姿勢が悪い方は、この生理湾曲が崩れ、椎間板を押しつぶしたり押し出したりする形になることで、神経を圧迫し、腰痛などを引き起こすのです。

一旦癖になってしまった姿勢はなかなか元には戻りません。

さらに、姿勢の悪さが原因でかかる腰への負担は、かなり大きいと言われています。

姿勢の悪さから骨盤の歪みが起きやすくなったり、身体を支えようとしてさらに身体が歪んでしまうなど、悪循環に陥ります。

最終的に内臓の位置まで変わってしまうため、腰痛以外にも問題が起きやすくなると言えます。

このようなことから、普段から自分の姿勢には注意し、改善していく努力が必要となります。

 

加齢によるもの

人間は誰であっても老化していきますよね。

加齢によって身体の様々な部分に問題が出始めることは、仕方がないことでもあります。

「年齢には逆らえない・・・」「歳をとることは仕方がないから諦めよう」と思っている方もおられるかもしれません。

確かに歳をとって身体に問題がでてくることは仕方がないかもしれませんが、それを遅らせることは可能です。

加齢によるヘルニアであっても、努力次第で発症は予防できるということです。

 

ヘルニアの症状ってどんなもの?

ヘルニアの症状には個人差がありますが、以下のようなものが代表的な症状です。

  • 腰が痛い
  • 下肢が痛い
  • 痺れる感じがする
  • 感覚が鈍る
  • 腰から下が冷たく感じる

 

これらの痛みや痺れは、飛び出した椎間板のいち部分が、周囲に通っている神経を圧迫してしまうために起きる痛みです。

どの部分がヘルニアになったのかによって、症状が見られる部分が異なります。

お尻や足などなどの疼痛がある場合、坐骨神経痛の症状がでている可能性があります。

坐骨神経痛は、ヘルニアが原因となってみられることが多い症状の1つです。

 

ヘルニアの原因の1つ「姿勢の悪さ」は大きな問題

ヘルニアの原因としては、先程挙げたようないくつかのものがあります。

その中でも、寝ている間の痛みと大きく関係しているものとして、「日常生活での姿勢の悪さ」が挙げられます

先程ご説明しましたように、立っている姿勢で背骨が緩やかなS字カーブを描いている状態が、一番身体に負担がかからない姿勢です。

ですが、悪い姿勢が日常的になってしまっている方の場合、背骨や骨盤なども歪んでしまっている可能性があります。

この姿勢の悪さは、寝ている間の姿勢にも大きく影響するため、ヘルニアの症状を悪化させることがある危険性の高い問題なのです。

 

姿勢の悪さチェック!

姿勢の悪さが問題だと言われても、自分では姿勢が良いのかどうかわからないという方も多いと思います。

まずは、自分の姿勢がいいのか悪いのか、簡単にチェックしてみましょう。

1.特に姿勢を意識せず、いつも通りの姿勢で壁に背をくっつけて立ちます
2.後頭部・背中・お尻・かかとが壁に付いているかどうかを確認します

 

この状態で、後頭部・背中・お尻・かかとの一部分でも壁から離れている、もしくは、壁にくっつけるのが辛い、意識をしなくてはくっつかない、という方は、普段の姿勢が悪いということになります。

逆に、普段から正しい姿勢ができている方の場合、意識せずに壁に背をくっつける状態で立つと、この4つが無理なく自然に全て壁にくっつきます

 

姿勢を正す習慣をつければ、腰痛を予防できる

悪い姿勢を改善せずに放置しておくことで、椎間板が押し出されたり潰されたりする形になってしまいます。

そうなると神経を圧迫し、腰痛がおきやすくなってしまいますよね。

姿勢が悪い→もとの姿勢に戻そうと身体が無理をする→骨盤・背骨がズレる→さらに姿勢が悪くなる・・・

姿勢が悪い状態を放置すると、この流れを繰り返してしまうことになります。

 

この悪循環を断ってヘルニアを予防・改善するためには、自分の姿勢を正す習慣をつければ良いということです。

ただ、立っている間の姿勢だけに意識を向けても意味がありません。

実は、寝ている間の姿勢、寝る時の姿勢についても、一度しっかりと見直してみたほうが良いのです。

 

寝ている時の姿勢、寝方には注意が必要!

ヘルニアを患っている方の中には、寝る時の姿勢に困っている方が多くおられます。

・ベッドに入ると痛みが出始める
・寝返りが多くなり痛みで目が覚める
・朝は腰痛でなかなか起きられない
・痛みがあるせいでなかなか寝付くことができない

など、このような悩みがある方が多いのですね。

寝る時間は本来、身体を休めるための時間であるはずです。

それが痛みでぐっすり眠れなかったり、途中で目が覚めてしまったりするようでは、全く意味がありません。

睡眠不足になると、ヘルニア自体を治癒させる力も発揮できなくなりますよね。

寝ている間の姿勢も、ヘルニアの痛みを誘発・悪化させることがあるため、注意する必要があるのです。

 

死ぬまでに「寝ている時間」はかなり長い

人間は、ブラック企業に勤務していて睡眠が全くとれていないという方や、不規則すぎる生活を送っている方以外は、1日の3分の1を寝て過ごすと言われています。

言い換えれば、1ヶ月の3分の1を寝て過ごしているとも言えますし、1年の3分の1、つまり4ヶ月もの時間を寝て過ごしているとも言えますよね。

これを寿命が尽きるまでの単位で考えてみると、寝ている時間というのはかなり長い時間であることが分かります。

起きている間のことしか意識しないため、寝ている時間がこんなにも長いとはなかなか想像もつかないのではないでしょうか。

 

寝ている時間をよりよいものにする=睡眠の質を高めることができる

活動している時間をより良いものにすることはもちろん大切ですが、寝ている時間もよりよいものにすることで、人生の質はかなり高まります。

睡眠をしっかりととることができれば、ヘルニアからくる腰痛や、長時間のデスクワークからくる肩こり・腰痛なども改善していくことが可能となります。

椎間板ヘルニアが引き起こすことが多い「坐骨神経痛」の症状は、起きている間だけではなく寝ている間にも痛みを感じることがあります。

この寝ている間の痛みが強いと、ぐっすりと眠ることができずに寝返りばかりうってしまったり、なかなか寝付けずに朝を迎えてしまうため、精神的にも肉体的にも休まらないのですね。

では、ヘルニアによる寝る時間の痛みを軽減するにはどうすればいいのか・・・

その方法の中の1つが、「腰椎椎間板ヘルニアに適した寝方を覚えること」なのです。

 

ヘルニアに良い寝方とは?

腰椎椎間板ヘルニアを患っておられる方にとって、「良い寝方」というのは、どのようなものなのでしょうか。

*ここでいう良い寝方とは、ヘルニアの症状を緩和させることができる寝方という意味です。

 

結論から言いますと、ヘルニアの方に良い寝方とは、「その人が楽だと感じる姿勢」です。

仰向け寝が楽だと感じる方はその寝方が良いですし、横向き寝が楽だと感じる方はその寝方が良いということです。

ヘルニアの痛みや症状には個人差もありますので、あくまでもその方が楽だと感じる寝方が一番なのですね。

ですがこれではあまりにも漠然としていますので、避けるべき寝方とおすすめの寝方をご紹介しておきたいと思います。

 

避けるべき寝方とは

ヘルニアで腰が痛い方の場合に、絶対に避けたほうが良いとされている寝方があります。
それは、「うつぶせ」です。

実際にうつ伏せになってみるとよく分かるのですが、うつ伏せの状態では腰が反ってしまいます。

腰が反るだけで何もなければいいのですが、反った部分に大きな負担がかかり、神経を圧迫してしまうため痛みが余計に悪化する恐れがあるのです。

ヘルニアではない方であっても、うつ伏せになった状態が数分続くだけで、腰に痛みを感じます。

それほどまでにうつ伏せで寝るという寝方は、腰に負担をかけるものなのですね。

痛みがあっても、眠る瞬間だけはうつ伏せが楽に感じるかもしれません。

ですが、痛みで夜中に起きてしまったり、寝返りが増えたりすることで睡眠が十分にとれなくなる可能性もあります。

 

ヘルニアの方におすすめの寝方は「横向き」!

ここで思い出していただきたいのが、人間の身体に一番負担がかからない姿勢だとご説明しました「良い姿勢」についてです。

先程、背骨から腰部まで、緩やかなS字カーブを描いている状態の姿勢が、人間の身体に一番負担がかからない姿勢だとご説明しました。

この良い姿勢、実は寝ている間にも同じことが言えるのです。

 

寝ている間に腰に負担をかけない理想的な姿勢とは・・・

仰向き 横から見た時、背骨が緩やかなS字カーブを描いている状態
横向き 横から見た時、背骨がI字(直線)になっている状態

これが、寝ている間の理想的な姿勢であり、腰に負担をかけづらい状態の姿勢です。

仰向きと横向きのどちらも負担をかけづらい寝方なのですが、おすすめは横向きです。

背中がピーンと伸びている状態でもなく、腰が反る状態でもない、それが横向き寝の良いところなのです。

腰部分を圧迫する要素がなくなるだけではなく、身体を少し丸めることで痛みが和らぎやすい姿勢だと言えます。

横向きといってもただ単純に横を向くだけではなく、やや身体を丸めるようなイメージで寝てみてください。

横を向いた状態で膝を伸ばしきったほうが楽だという方はそうしていただいたら良いですし、少し足をずらしたほうが楽だという方はそれで良いです。

横向きに寝た状態で、痛みが少しでも楽だと感じる寝方を探してみてくださいね。

 

クッションを活用するとさらに良い

ただ横を向いて眠るというだけでも腰への負担は軽減されるのですが、クッションを活用するとさらに負担が軽くなります。

1.横向きに寝ます
2.膝と股関節を軽く曲げて、楽な姿勢をとります
3.膝の間にクッションを挟みます

 

以上、たったこれだけで、腰への負担が軽くなり、痛みを軽減させることができます。

もちろんクッションではなく、バスタオルや古くなった枕などでも問題ありませんので、挟んでみて身体が安定するものを使用してみてください。

 

クッション等を膝の間に挟むことで安定性が高まるため、少しの余計な力も入れる必要がなくなり、リラックス状態を作ることができます

身体がリラックスした状態で眠ることができれば、疲労物質を排出したりすることもスムーズになるため、寝起きに違いが出るようになります。

朝起きた時に腰が痛いという方も、一度睡眠の質を見直してみることをおすすめします。

 

一番良いのは、自分が楽な寝方・姿勢

「横向き寝がおすすめだとネットで見たから・・・」という理由で、痛みを我慢して横向き寝にするのはNGです。

痛みを我慢しながらそれをかばうようにすると、身体に変な力が入ってしまい、腰の筋肉の緊張が緩まらずに余計に痛みを悪化させることになってしまいます。

自分が楽だと感じる姿勢で眠るのが一番良い方法なので、仰向け寝が楽なら仰向け寝、うつ伏せ寝が楽ならうつぶせ寝、というようにしてみてください。

うつぶせ寝は極力避けるべきなのですが、楽だと感じる寝方で眠ったほうが、ヘルニアと上手に付き合えることもあります。

またヘルニアなどの腰痛に良いマットレスで寝る事も重要です。

ヘルニアなのに低反発マットレスで寝ていると逆に悪化してしまい手術が必要になる時もあるので注意が必要です。

 

接骨院や整体院に頼ることもおすすめ

ヘルニアを患っておられる方の中には、自分の身体に合った寝方を専門家に診てほしいと思う方もおられると思います。

自分で楽な姿勢を探すことも、腰の痛みを考えると怖くてできない!という方は、接骨院や整体院に頼ってみることもおすすめです。

姿勢のただし方や自分に合った寝方を一緒にみつけてもらうことで、安心して眠ることができるようになります

 

まとめ

ヘルニアの方の症状は様々ありますが、寝る時に腰や下肢に痛みを感じる方は多くおられます。

ですが、自分に合った寝方を身につけることでヘルニアの痛みを軽減させ、睡眠の質を高めていくことができるようになります。

もちろん寝方を改善するだけではなく、日頃からストレッチなどで筋肉の緊張をほぐしてあげたり、血行をよくしてあげる等の努力も必要になります

最近では、ヘルニアは必ず手術を必要とするわけではなく、自然に治ることが多い疾患とされています。

寝方を改善することでヘルニアの治癒力を高め、日頃の動作などもスムーズに行えるようにしていきたいですね。

 

 

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